Web・アプリ・動画用はRGBを推奨する理由
Webやアプリ、動画などのデジタルコンテンツでロゴを使用する場合、RGBカラーモードが最も適しています。RGBはRed、Green、Blueの光の三原色で構成され、加法混色により明るく鮮やかな色を表現できます。ディスプレイは光を使って色を表示するため、RGBがその構造に完全に一致し、最も発色が良くなります。
Web環境におけるRGBの強みは「再現性の高さ」「鮮やかさ」「軽量なファイルサイズ」の3点です。Webブラウザ、スマートフォン、アプリケーション、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームにおいて、RGBで作成されたロゴは期待通りの色合いを表示しやすく、ブランドイメージを強く印象付けることが可能です。
例えば、以下のようなRGB活用シーンがあります。
使用シーン
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推奨理由
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Webサイトのロゴ
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鮮やかで明るい表示が可能。表示スピードにも優れる
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SNSアイコン
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RGB限定のプラットフォームでの表示を最適化
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デジタル広告
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RGBの高コントラストで視認性を高めクリック率が向上
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動画・アニメーション
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RGBによる色彩効果でダイナミックな演出が可能
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RGBは256階調×3チャンネルで約1670万色を表現できます。この豊富な色数は、CMYKでは再現しきれない蛍光色やネオンカラーも表現可能にし、ブランドカラーを視覚的に強化する上で極めて有効です。Webデザインの中で目立つロゴを配置したい場合、RGBの力は絶大です。
一方で注意すべきは、RGBロゴは印刷には向かないということです。印刷業者にそのまま入稿すると、くすんだ発色になる可能性が高いため、印刷用途が含まれる場合は後述のCMYKでの別データ作成が必要です。
また、RGBを使用する際には、画面による色味の違い(ディスプレイの個体差やキャリブレーションの影響)を考慮し、ICCプロファイルを意識した設計が望まれます。特に複数のデバイスでブランド統一性を保つために、明確なカラーコードとデザインガイドラインの設定が推奨されます。
まとめると、RGBはデジタル用途において優れた表現力を発揮しますが、印刷用途との使い分けが必要であり、使用媒体の特性に応じた戦略的な設計が重要です。
名刺・パンフレット・印刷物にはCMYKが安心な理由
印刷物にロゴを使用する際には、RGBではなくCMYKを使用することが業界のスタンダードです。CMYKはCyan、Magenta、Yellow、Blackの4色で構成される減法混色方式で、プリンターのインクやオフセット印刷などに対応した色再現方式となっています。
ロゴの色味を忠実に印刷するためには、CMYKでの設計が不可欠です。RGBで作成されたデータをそのまま印刷すると、発色がくすんだり、色合いが大きく異なってしまうケースが多く、企業やブランドの信頼性を損なう可能性があります。特に赤やオレンジ、ターコイズ系などはCMYKでの再現が難しく、事前の色補正や検証が必要になります。
以下のような印刷用途でのCMYKの適用例があります。
印刷媒体
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CMYK利用の理由
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名刺
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用紙・印刷業者に応じた正確な色再現が必要
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チラシ・ポスター
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大量印刷やオフセット印刷との互換性が確保できる
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パンフレット
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デザイン統一と紙質に応じた安定した印刷品質を実現
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封筒・包装紙
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ブランドイメージを印刷物に反映するための安定性
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CMYKを使用する際のポイントとしては、以下が挙げられます。
1 印刷業者の指定するプロファイルを使用
2 黒(K100%)を使用し、CMYの混合でグレーを作らない
3 カラーバーやトンボを付けて、色味やトリムの確認を行う
4 フォントはアウトライン化、画像は埋め込みで入稿する
また、印刷の色味を安定させるには、CMYK変換時のプレビューを事前に確認し、実際の印刷サンプル(校正刷り)を行うことが推奨されます。とくに企業のCI(コーポレートアイデンティティ)において、ロゴの色味がブレることは致命的であり、社内外での信頼性低下につながります。
CMYKでの入稿データは、印刷所にとって最も扱いやすく、トラブルの発生率が低いことから、ビジネス用途ではスタンダードとなっています。印刷を前提としたロゴ展開には、CMYKでの制作と確認プロセスが不可欠であり、プロのデザイナーとしては必須の知識です。